回転移動のおさらい
点$\mathrm{A}(a, b)$を原点を中心に角$\theta$だけ回転させた点は
\[
(a\cos\theta-b\sin\theta, a\sin\theta+b\cos\theta)
\]になります。

軽く説明しておくと、線分$\mathrm{OA}$の長さを$r > 0$とし、$\mathrm{OA}$と$x$軸がなす角を$\alpha$とおくと、求める点は
\[
(r\cos(\alpha+\theta), r\sin(\alpha+\theta))
\]となります。あとは加法定理やら$r\cos\alpha=a$,$r\sin\alpha=b$やらを用いれば得られます。
また、複素数の知識を使えば、点$\mathrm{A}$を複素平面上の点$a+ib$と思って、原点に中心に角$\theta$だけ回転させた点は以下のように計算ができます。
\begin{align*}
&(\cos\theta + i\sin\theta)(a+ib)\\
= & a\cos\theta-b\sin\theta + i(a\sin\theta+b\cos\theta)
\end{align*}あるいは点$\mathrm{A}$を縦ベクトル$\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix}$で表して、回転行列をかけたものと考えることもできます。
\[
\begin{pmatrix}
\cos\theta & -\sin\theta\\
\sin\theta & \cos\theta
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
a\\
b
\end{pmatrix}
\]今まで学んできた数学の伏線回収のようで、色んな解釈ができて面白いですね。
回転移動に関するクイズ
以上を踏まえて、ここでクイズです。
&x\sin\frac{\pi}{6} + y\cos\frac{\pi}{6} = \left(x\cos\frac{\pi}{6} - y\sin\frac{\pi}{6}\right)^{2}\\
&\frac{x}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}y = \left(\frac{\sqrt{3}}{2}x - \frac{y}{2}\right)^{2}
\end{align*}で表される曲線のグラフとして、最も適切なものは次のうちどれでしょう?
(黒の点線で表されている曲線は放物線$y=x^2$のグラフを表します)
。一応補足すると、与えられた式は放物線$y=x^2$における$x$を$\frac{\sqrt{3}}{2}x - \frac{y}{2}$にまるっと置き換えて、$y$の方は$\frac{x}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}y$にまるっと置き換えた式になっています。
ぜひ直感でお答えください。
準備はよろしいでしょうか?
事前アンケートと正解発表
正解発表の前に、事前アンケート(5年前)の結果です。
x sin(π/6) + y cos(π/6) = (x cos(π/6) - y sin(π/6))²
— コロちゃんぬ (@corollary2525) 2020年12月4日
で表される曲線は?
アンケート時期が古古古米より古いのはさておき、①と②で半々に分かれましたね(その前に圧倒的サンプル不足だろ)。
それでは正解の発表です。
正解は…②です!

①だと思った方、残念、逆回転でした。①を選んだ方はおそらく、
\[
(x\cos\frac{\pi}{6} - y\sin\frac{\pi}{6}, x\sin\frac{\pi}{6} + y\cos\frac{\pi}{6} )
\]は原点を中心に角$\frac{\pi}{6}$だけ回転させるから、といった理由で選んだのだと思います。でも実際は逆回転します。なぜでしょうか?
解説
点$(a,b)$は
\begin{equation}
x\sin\left(\frac{\pi}{6}\right)+y\cos\left(\frac{\pi}{6}\right)=\left(x\cos\left(\frac{\pi}{6}\right)-y\sin\left(\frac{\pi}{6}\right)\right)^{2}\label{1}
\end{equation}で表された曲線上にあるとします。すると
\[
a\sin\left(\frac{\pi}{6}\right)+b\cos\left(\frac{\pi}{6}\right)=\left(a\cos\left(\frac{\pi}{6}\right)-b\sin\left(\frac{\pi}{6}\right)\right)^{2}
\]をみたします(代入しただけ)。これは、点$(a\cos\theta-b\sin\theta, a\sin\theta+b\cos\theta)$が放物線$y=x^2$上にあると思うことができます。つまり、「点$(a,b)$を原点を中心に$\frac{\pi}{6}$だけ回転移動した点」が放物線$y=x^2$上にあると言っています。そうなるための点$(a,b)$の条件は何でしょうか?
そうです、正の方向に$\frac{\pi}{6}$だけ回転移動した”後”の点が放物線上にあるためには、あらかじめ$(a,b)$を負の方向に$\frac{\pi}{6}$だけ回転させておけばよいですね!ということで\eqref{1}が表す曲線は、放物線$y=x^2$を原点を中心に$-\frac{\pi}{6}$だけ回転移動した曲線になります。だから逆回転したように見えるんですねぇ。
平行移動との関係
ここで、グラフの平行移動のことを思い出します。
例えば、$y=(x+1)^2$のグラフを考えましょう。
この式が表すグラフは、放物線$y=x^2$のグラフを$x$軸方向に$-1$だけ平行移動したものになります。「$+1$」と書いているのだからプラス方向に移動すると考えるのはよくある間違いです。
先ほどのクイズ、実はこれと全く同じことが起きているんです。
$y=(x+1)^2$のグラフ上の点を$(a,b)$とすると
\[
b=(a+1)^2
\]が成り立ちます(代入しただけ)。
この式は、点$(a+1,b)$が放物線$y=x^2$上にあると考えることができます。「$(a,b)$からみて$x$軸方向に$+1$だけずれた点」が放物線$y=x^2$上に乗っかるためには、あらかじめ点$(a,b)$が$x$軸方向に$-1$だけずれていればよいわけですね。だから符号が反転するんですねぇ。
公式の紹介
公式と言うほどでもないですが、$y=f(x)$のグラフを原点を中心に角$\theta$だけ回転移動したグラフを表す式を書いておきます。関数アート等、お好きなグラフを回転させたいときにご利用ください。
& x\sin(-\theta)+y\cos(-\theta) = f(x\cos(-\theta)-y\sin(-\theta) ) \\
& -x\sin\theta+y\cos\theta = f(x\cos\theta+y\sin\theta)
\end{align*}のグラフは$y=f(x)$のグラフを原点を中心に角$\theta$だけ回転移動したグラフを表す.
\[
f(x\cos\theta+y\sin\theta, -x\sin\theta+y\cos\theta)=0
\]が所望の式になります。
今日はこの角で!
間違えた、今日はこの辺で!
thank Q for rEaDing.φ(・▽・ )