この記事は「好きな証明 Advent Calendar 2018」の7日目の記事です。
いきなりですが!(楽天カードマンの言い方)
みなさんは「好きな証明」ありますか?
私はいくつか思い当たる証明があってブログにしようと思ったのですが、そういうのはもう誰かがどこかで紹介しているもんですね。
そこで、今日は2018年に出会った好きな証明ベスト4を発表します!!
第4位: と
無理数の中でも、πやeは特別な数で、超越数と呼ばれています。
— 数学を愛する会 (@mathlava) 2018年9月30日
超越数の定義はどんな有理数係数方程式の解にもならないことです。
超越数であることを証明するのは困難で、π+eやπ-eが超越数であるかは未だに分かっていませんが、
少なくともこの2つのどちらかが超越数であることは簡単に証明できます。 pic.twitter.com/KUAFQr1OxD
異なる2つの超越数の和と差、そのどちらか一方は超越数であることは容易に示せるんですね〜。もし、 が代数的数だったら、 は超越数になるってことでしょ?そんな不思議なことが起きるかどうかは分からないけれど、未知な数と触れ合うことができて楽しかったです。
第3位: と の大小
不等式\begin{equation*}
1+x\le e^x
\end{equation*}にを代入すると
\begin{align*}
\frac{\pi}{e}&< e^{\frac{\pi}{e}-1}\\
\pi&< e^{\frac{\pi}{e}} \\
\pi^e&< e^{\pi}
\end{align*}あっさり証明できた!
第2位: Cauchy-Schwarzの不等式
كوشي شوارتز هندسيا pic.twitter.com/kIy004VQQK
— علي الدخيل ( math ) (@carmath2014) 2018年6月1日
平行四辺形と長方形の面積を比べれば明らかなやつや!!
Cauchy-Schwarzの不等式といえば判別式による証明ですが、こういう図を描いて理解できるのは初めて知りました。
なお、この画像を画像検索してみたら、出典はProofs without Wordsという本からのようです。原書はやたら高いので、秋山仁先生などによる邦訳を買うことにします。
第1位: 三角関数の合成って要するに内積…
「三角関数の合成をするには加法定理をまず覚えよう,とか言って,いままでどうしてこれを誰も教えてくれなかったのか!」(←教えてくれてた人はいたのに私が理解できていなかった説) pic.twitter.com/Rp2XTagqL4
— すど (@ysmemoirs) 2018年9月6日
三角関数の合成をベクトルの内積と考えるだと!?その発想はなかった!ベクトルって、高校数学における公式を簡潔に導出できることがよくあるので、私も探してみたくなりました。
好きな証明を振り返る
「好きな証明」についてもう少しだけ語らせてください。
好きな証明って何だろうと考えたとき、私の場合は少なくとも次の4パターンがあるなあと思いました。
簡潔な証明
簡潔な証明はみんな好きですよね。その中でも図を用いて言葉なしの証明(proof without words)なんかは大好物です。
1^2+2^2+3^2+…+n^2=n(n+1)(2n+1)/6を証明しました.多分これより簡単な証明はないはず! pic.twitter.com/EViOsVzy0m
— ほりたみゅ (@Hyrodium) 2013年3月24日
予想外のアイデアからの証明
「何だその同値な言い換えは!?」「なぜその知識を使おうと思ったのか」などと唸ってしまうような天才的な証明はいつ読んでも感動します。
「好きな証明アドベントカレンダー2018」7日目にしてすでに2人が挙げていますが、位相を利用した素数の無限性証明は私も好きです(3人目)。
簡単な問題に大定理を使う証明
その辺のポッポをはかいこうせんで倒すような証明。例えば、フェルマーの最終定理を使って2のn乗根()が無理数であることの証明はお気に入りです。
使い方を誤ると循環論法になるので注意が必要ですが。。。2^(1/n) is irrational for n≥3. Proof (Schultz, 2003): Assume 2^(1/n) = p/q; then p^n = q^n + q^n, contradicting Fermat's Last Theorem.
— Tiny Proof (@tinyproof) 2013年5月20日
“論理のドミノ倒し”みたいな証明
定義に従って書き始めたら、仮定がいい感じに使えて、気づいたら証明できちゃうやつ。地味なんですけど、癖になるんです。
例えば「写像,に対して,が全射ならばは全射」とかかな?
が全射であることを示したいんだから、とりあえず任意にを取るじゃん?
が全射なんだから、あるが存在してでしょ?
合成の定義からでしょ?
だから証明終わってんじゃん!…みたいなやつ。
こういう“論理のドミノ倒し”みたいな証明の積み重ねで私は数学にハマったと言っても過言ではないです。
私の好きな証明2018と言いつつ、歴代の好きな証明の一部も紹介しちゃいました。
「好きな証明 Advent Calendar 2018」の8日目はgrand_antiprismさんの「初等幾何と複比」です。お楽しみに!
thank Q for rEaDing.φ(・▽・ )
おまけ:正しくないけど笑ってしまった証明
高校のときの数学小テストでの愚行 pic.twitter.com/a43cwd9Cin
— 杉もち (@sugimoching) 2018年8月3日
????? pic.twitter.com/j9FIxj4Vfk
— shift* 시프트 🍓 (@shiftpsh) 2018年9月7日
πは3ではないことを背理法で証明
— ? (@rm7kga) 2018年8月2日
πを3と仮定すると
π=3
両辺に「おっ」を掛けて
おっπ=おっ3
よって
おっぱい=おっさん
しかしこのような気持ち悪い事象は許されることはない。
故に、πは3ではない