Corollaryは必然に。

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積分を使って自然数のべき乗の和を求める私

この記事は、インテジャーズ Advent Calender 2017の23日目の記事です。前回はぺけ(@tamago_on_gohan)さんの「Bowman-Bradleyの定理」でした。
BB thm.pdf
多重ゼータ値の和に関する定理の解説・最新の話題・証明を興味深く読ませていただきました!


なんか面白い問題ないかなぁ~(問題集をペラペラめくりながら)

ん?これは…

問題*1
(1)\[\int_{x-1}^x\!(t+a)dt=x\]を満たすaの値を求めなさい。
(2) (1)を用いて1からnまでの自然数の和の公式\[1+2+3+\cdots+n=\dfrac{1}{2}n(n+1)\]を証明しなさい。

(数Bの知識を使わずに)積分を使って自然数の和の公式を導けるのか。なるほど。

解答
(1)\begin{align}
\int_{x-1}^x\!(t+a)dt&=\left[\dfrac{t^2}{2}+at\right]_{x-1}^x\\
&=x-\dfrac{1}{2}+a
\end{align}よって,a=\dfrac{1}{2}.

(2) (1)より
\begin{align}
1&=\int_0^1\!\left(t+\dfrac{1}{2}\right)dt\\
2&=\int_1^2\!\left(t+\dfrac{1}{2}\right)dt\\
3&=\int_2^3\!\left(t+\dfrac{1}{2}\right)dt\\
&\qquad\qquad\vdots\\
n&=\int_{n-1}^n\!\left(t+\dfrac{1}{2}\right)dt\\
\end{align}なので
\begin{align}
1+2+3+\cdots+n&=\int_0^n\!\left(t+\dfrac{1}{2}\right)dt\\
&=\left[\dfrac{t^2}{2}+\dfrac{t}{2}\right]_0^n\\
&=\dfrac{1}{2}n(n+1)
\end{align}が得られる.■



積分の性質\int_a^{\color{red}{b}}+\int_{\color{red}{b}}^c=\int_a^cを上手く利用した証明、望遠鏡和に通じるものがありますなぁ。気持ちいい~





ん?ちょっと待てよ。もしかしてこれ…

2乗の和も同様に求められるのでは!?





(Step1)
\[\int_{x-1}^x\!(t^2+at+b)dt=x^2\]を満たすabの値を求める。
(Step2) 自然数の2乗の和は\[1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2=\int_0^n\!(t^2+at+b)dt\]を計算すればよい。

やってみますか。
\begin{align}
\int_{x-1}^x\!(t^2+at+b)dt&=\left[\dfrac{t^3}{3}+\dfrac{at^2}{2}+bt\right]_{x-1}^x\\
&=\dfrac{3x^2-3x+1}{3}+\dfrac{a(2x-1)}{2}+b\\
&=x^2+(a-1)x-\dfrac{a}{2}+b+\dfrac{1}{3}.
\end{align}ということは,a=1b=\dfrac{1}{6}であればいいから
\begin{align}
1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2&=\int_0^n\!\left(t^2+t+\dfrac{1}{6}\right)dt\\
&=\dfrac{n^3}{3}+\dfrac{n^2}{2}+\dfrac{n}{6}\\
&=\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}
\end{align}が得られる、と。確かに合ってますねぇ。

これを一般化すれば自然数のべき乗の和が求まりそう。

積分を使って自然数のべき乗の和の公式を求める方法
(Step1) f_k(x):=x^k+a_{k-1}x^{k-1}+a_{k-2}x^{k-2}+\cdots+a_0とおいたとき、\[\int_{x-1}^x\!f_k(t)dt=x^k\]を満たすa_{k-1}, a_{k-2}, \ldots, a_0の値が求まる*2
(Step2) 自然数のk乗の和は\[1^k+2^k+3^k+\cdots+n^k=\int_0^n\!f_k(t)dt\]で与えられる。

カリカリカリ…



ふう、この方法でf_5まで計算してみたら
\begin{align}
f_1(x)&=x+\dfrac{1}{2}\\
f_2(x)&=x^2+x+\dfrac{1}{6}\\
f_3(x)&=x^3+\dfrac{3}{2}x^2+\dfrac{1}{2}x\\
f_4(x)&=x^4+2x^3+x^2-\dfrac{1}{30}\\
f_5(x)&=x^5+\dfrac{5}{2}x^4+\dfrac{5}{3}x^3-\dfrac{1}{6}x
\end{align}になったぞ。これらを0からnまで積分して整理してみますか。



カリカリカリ…


\begin{alignat}{5}
&1&{}+{}&2&{}+{}&3&{}+{}&\cdots&{}+{}&n&{}={}&\dfrac{1}{2}n(n+1)\\
&1^2&{}+{}&2^2&{}+{}&3^2&{}+{}&\cdots&{}+{}&n^2&{}={}&\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\\
&1^3&{}+{}&2^3&{}+{}&3^3&{}+{}&\cdots&{}+{}&n^3&{}={}&\dfrac{1}{4}n^2(n+1)^2\\
&1^4&{}+{}&2^4&{}+{}&3^4&{}+{}&\cdots&{}+{}&n^4&{}={}&\dfrac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)\\
&1^5&{}+{}&2^5&{}+{}&3^5&{}+{}&\cdots&{}+{}&n^5&{}={}&\dfrac{1}{12}n^2(n+1)^2(2n^2+2n-1)
\end{alignat}ふう、因数分解は面倒くさかったけど、とにかくf_k(x)さえ求まってしまえばべき乗の和は割とすぐ求まるってことね。なるほど。



でもなぁ、f_k(x)を明示的に表示したわけではないから、f_k(x)の正体がよく分からないな。

f_k(x)って何なんだろう?個人的に ど こ か で 見たことがある気がするんだけどなあ。





あ、もしかして…

これ、インテジャーズにあったやつだ!
integers.hatenablog.com



ふむふむ、どうやらf_k(x)の正体はBernoulli(ベルヌーイ)多項式っぽい。

定義(Bernoulli多項式
Bernouill多項式 B_n(x)\in\mathbb{Q}[x]を次の母関数の展開係数として定義する:\[F(t, x) := \frac{te^{(1+x)t}}{e^t-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{B_n(x)}{n!}t^n.\]

この定義によれば、B_1(x)=x+\frac{1}{2}B_2(x)=x^2+x+\frac{1}{6}…となってるから絶対これだ!



えーっと、つまるところ次の等式をチェックすればf_n(x)の正体がBernoulli多項式であることが分かりますね。

命題
\[
\int_{x-1}^x\!B_n(t)\:dt=x^n
\]

とりあえず母関数を積分しますか。
\[
\int_{x-1}^x\!F(t,x)\:dx=\left[\frac{e^{(1+x)t}}{e^t-1}\right]_{x-1}^x=e^{xt}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{x^n}{n!}t^n
\]お、ということはBernoulli多項式の定義より
\[
\int_{x-1}^x\!B_n(t)\:dt=x^n
\]が言えますね(シグマと積分の順序交換はデリケートに扱うべきですが)。意外とあっさり。



ところで、この命題は有名なんですかね。簡単だしたぶん有名だろうけど、検索検索っ



はい、ベルヌーイ多項式 - Wikipediaに載ってた。

でも、面白かったー!



インテジャーズ Advent Calender 2017、次回はSe Manyamaさんの「ラマヌジャンのタウ函数のいろいろな計算方法」です。あれ?次回なのにもうリンクが貼ってありますね…。そうです、私の更新が遅れました。ごめんなさい!


thank Q for rEaDing.φ(・▽・ )


その他の参考文献

*1:数研出版『スタンダード 数学II』の問題を一部改変

*2:係数が一意に定まることのチェックは必要